月のひかり/令和3年4月の法話
【担 当】 半田了靖 師 〔愛知県岡崎市 崇福寺 徒弟〕
【御 題】 「月のひかり」
『月影のいたらぬ里はなけれども、ながむる人の心にぞすむ。』
浄土宗を開かれた法然上人のお歌です。月影とは月の光のことです。仏さまの光、親さまの光というのは、月の光に例えられます。太陽ではなく、月なのです。
私は40歳になるまで月の光を知りませんでした。市街地に住んでおりましたので、夜でも明るく、月は見えたことはあっても、月あかりというものを感じたことはありませんでした。
田舎のお寺で暮らすようになって気が付きました。お参りをして夜道を歩いていると、不意に真っ暗になったのです。まるで、電気が消えたように目の前が真っ暗になって、その場から動けなくなりました。そして今度は、電気がついたように明るくなったのです。お月さまが雲から顔を出したのです。
月ってこんなに明るかったのだ!と40にもなって知りました。
私が気が付いていなかった40年間も、お月さまは光っておられたのだと思います。明るくて賑やかな町に住んでいますと、そのやさしい光には気が付かないのです。仏さまの光、親さまの光も同じだと思います。
楽しくて忙しいときは気が付かないのですが、つまずいて苦しいときは、そのかすかな光がとてもありがたいのです。そして、その光にはずっと照らされてきているのです。
このたび、当布教師会より法然上人800回大遠忌記念事業として法話集「法然さまからのお手紙とお歌」を出版いたしました。
法然さまが「黒田の聖人(ひじり)」に宛てた一紙小消息を、管長猊下お手ずから、わかりやすく現代の言葉に置き換えていただき、それを一区切りづつ布教師会の布教師がお説教として書き下ろしました。 また法然さまの代表的なお歌を八首取り上げ、それをテーマとしたお説教も掲載しております。
この本のお求めは、≪総本山誓願寺公式サイト「出版書籍のご案内」ページ≫ よりご購入いただけます。(一部1,000円税込/送料別)
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