無常ということ/令和3年3月の法話
【担 当】 佐伯良雄 師 〔愛知県蒲郡市 光明寺 住職〕
【御 題】 「無常ということ」
無常といいますと、平家物語の冒頭 「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす」が有名です。
世の中の移り変わりのむなしさを現し、何となく自分の人生と考え合わせ感傷的にもなります。
特に、最近の地震災害や水害の多いことを考えると、自然にも無常を痛感します。
また、コロナウイルス感染症など未知の病気の発生にも不安や無常を感じます。
無常により引き起こされた、その災害や病気の悲惨さには心が痛みます。しかし、無常とは、世の中の現象の事実を示す言葉です。
無常だからこそ、自分の行為によって相手に影響を与えることができる。自分のやりたいことが出来る、努力して報われることがあればうれしい。つまり、無常は、人それぞれに可能性がある事を示す意味にとることができる。
仏教用語は、言い表すことの出来ない真理を、理解しやすいように対機説法された言葉。だから、言い表したい本当の意味は、その言葉から導き出されるその先に意味があり、大事であると思います。
私は、よく「こっちの話を先に聞いて」と注意されることがある。相手の話を聞いているつもりなのだが、せっかちな性格なのか早合点し、自分勝手な理解をしてしまう。それは、今までの生活習慣がつい行動にでてしまうからです。このことは、自分の主張したいことを理解されにくくしてしまうという欠点が有り、失敗も多くしてしまう。しかし、この性格に気がついたからには、「相手の話を素直に聞く」ということを習慣にし、新たな一面を見せたいと考えています。
「聞く」ということは、仏法の基本ですからすべての人にも重要な行為です。
性格は、直らないと言うかも知れませんが、習慣によって身についたのだから、失敗しても何度も繰り返しすれば、必ず新しい習慣がみにつく、変化できると信じています。無常のような移り変わりのはげしい現代社会にこそ、自分の信じるところを大地とし、新たな自分を見つけて生きてゆきたい。
このたび、当布教師会より法然上人800回大遠忌記念事業として法話集「法然さまからのお手紙とお歌」を出版いたしました。
法然さまが「黒田の聖人(ひじり)」に宛てた一紙小消息を、管長猊下お手ずから、わかりやすく現代の言葉に置き換えていただき、それを一区切りづつ布教師会の布教師がお説教として書き下ろしました。 また法然さまの代表的なお歌を八首取り上げ、それをテーマとしたお説教も掲載しております。
この本のお求めは、≪総本山誓願寺公式サイト「出版書籍のご案内」ページ≫ よりご購入いただけます。(一部1,000円税込/送料別)
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