説法獅子吼/令和3年5月の法話/お説教の詳細ページ/浄土宗西山深草派布教師会

浄土宗西山深草派 総本山誓願寺


 

 


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説法獅子吼/令和3年5月の法話


説法獅子吼/令和3年5月の法話の画像1
【担 当】 村松憲道 師 〔愛知県蒲郡市 真如寺 住職〕
【御 題】 「説法獅子吼」

 


 

 


 

 

説法獅子吼

この言葉における“獅子”とは想像上の生物であり、現実に存在するライオンを意味する言葉でもあります。百獣の王たるライオンは一吼えで、他の動物を恐れさせ屈服させます。これになぞらえ、お釈迦様の説法は悪魔や他の教えを信ずる人々が恐れさせ、屈服、仏教の教えに帰依させます。その様子を“説法獅子吼”といいます。

当たり前ですがライオンは吠えずともライオンです。しかしながらその咆哮で、他の動物を恐れさせる様子こそ、ライオンのライオンたる所以ではないでしょうか?

約2500年前、釈迦様はこの世にシャカ族王子としてなんの苦労もない恵まれた環境に誕生いたしました。そんな境遇でありながら周囲の反対を押し切り、その身分をかなぐり捨て、修行を重ね悟りをひらきました。現在においてもお釈迦様の教えが仏教として私たちの生活、文化に影響を及ぼすとともに、その教えを心の支え、生きる指針として生活している方もたくさんおられます。

とても優秀な方だったようで、もし王子のまま成長し、父王の後を継ぎ王様になったとしても、仏教の開祖としてでなく、偉大な王様として歴史の教科書に載っていたかもしれません。もしそうであったとしてもお釈迦様には間違いないのですが、私たちにとっては説法、教えを広められたお釈迦様こそ、お釈迦様なのです。

転じて私たちはどうなのでしょうか。

お釈迦様が説法することで“お釈迦様”たらしめているのならば、私たちを私たちたらしめるものはなんでしょうか。

それは、それぞれの環境で精一杯を生き抜くことで見つけられるのではないでしょうか。仕事場、家庭それぞれの環境、その人の役目を果たすことだとおもいます。母の役目、父の役目、社長の役目、従業員の役目などの理想は数多の本に書かれていたり、直接聞くこともあります。

そういった“理想”は理想で大切にするのもよいでしょう。

しかし、それぞれの立場、役目を果たしていく中で本当の個性が育っていくのではないでしょうか。無理矢理どこかで見つけた理想の姿を追い続け、その時々の、願望を切り貼りし自分の人生の目標に設定し、その距離に思い悩むよりも、日々の生活の中で育てられるその人にしかない個性を大切にしたいものです。もちろん、私たちもお釈迦様と同様に、何をしても、または何もしなくても間違いなく私たちであることに間違いはありません。

皆様はどちらを選びますか?

 

 

このたび、当布教師会より法然上人800回大遠忌記念事業として法話集「法然さまからのお手紙とお歌」を出版いたしました。


法然さまが「黒田の聖人(ひじり)」に宛てた一紙小消息を、管長猊下お手ずから、わかりやすく現代の言葉に置き換えていただき、それを一区切りづつ布教師会の布教師がお説教として書き下ろしました。 また法然さまの代表的なお歌を八首取り上げ、それをテーマとしたお説教も掲載しております。

この本のお求めは、≪総本山誓願寺公式サイト「出版書籍のご案内」ページ≫ よりご購入いただけます。(一部1,000円税込/送料別)


 


 

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