平成24年4月の法話/佐伯良雄師
【担 当】 佐伯良雄 師 〔愛知県蒲郡市 光明寺 住職〕
【御 題】 「無題」
阿弥陀経に「舎利弗よ 少なる善根 福徳の因縁をもって、かの国に生まれることをうべからず」とあります。
極楽浄土に生まれるためには、小さな善根ではだめだ、大きな善根が必要だということです。 どいうことかと言いますと、例えば、裕福ならば大金を喜捨してお堂を建立する功徳を積めるでしょう。 また、頭脳明晰ならば学業を積むことができ、体力に自信があれば、厳しい修行にも耐えることができるでしょう。
このような行為は、極楽に生まれる為には小さな功徳だといいます。 それに引き替え、仏さまを信じ、「南無阿弥陀仏」の一声の功徳は大善根であるといいます。
ただ、仏様を信じるということが、なぜ大善根なのでしょうか?
仏さまのおっしやることですので、たやすく凡人には理解におよびませんが、信じる事で自分の進む道に変化が現れるからではないでしょうか? そして、それが安らかな暮らしにつながる第一歩となるからだと思います。
この世の現実は、高収入で裕福ならば豪華な家に住み楽しく暮らすことができるでしょう。 しかし、それは幸せの世界のようでありますが、極楽の世界ではありません。 諸行無常といわれるように、天災、戦争、事故、病気いろいろな不幸な出来事があります。 移り変わりの激しい世界であり、自分の望むように楽しいこと、喜ばしいことが永遠に続く道理はありません。
そんな世の中で、安らかな暮らしをするためには、健康で日々の生活費を得ることは大事なことですが、安全で信じあえる社会であることが一番重要です。
私達は、欲望という煩悩が垢となって、自分に仏の命が宿っていることを気付かずにいます。 しかし、信じることで、私の心に仏の命が目覚めます。 仏になれる可能性をもっています。 仏の命を頂いた自分であると気がついて生活してゆくならば、必ず安らかな信用のおける世界へと導かれていくでしょう。
素直に信じることが難しい世の中になってきていますが、仏に信を置くという心の土台は、変化することのない確かなものであります。
私自身、自分の心持ちを振り返れば、卑しい根性の持ち主であります。 そして、過去になした悪い行いがすぐ消えるものではありませんが、繰り返さないようにしたら、すこしずつ人間性が変わると信じます。 自分の利益にもなり社会の利益にもなる行為を選択していきたいものと思います。
合掌 十念
このたび、当布教師会より法然上人800回大遠忌記念事業として法話集「法然さまからのお手紙とお歌」を出版いたしました。
法然さまが「黒田の聖人(ひじり)」に宛てた一紙小消息を、管長猊下お手ずから、わかりやすく現代の言葉に置き換えていただき、それを一区切りづつ布教師会の布教師がお説教として書き下ろしました。 また法然さまの代表的なお歌を八首取り上げ、それをテーマとしたお説教も掲載しております。
この本のお求めは、≪総本山誓願寺公式サイト「出版書籍のご案内」ページ≫ よりご購入いただけます。(一部1,000円税込/送料別)
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