平成27年7月の法話/畔柳優世師
【担 当】 畔柳優世 師 〔愛知県西尾市 養寿寺 住職〕
【御 題】 「向き合う心」
『観無量寿経』いうお経さまの中に、「回向発願心(えこうほつがんじん)」が説かれています。平たく言えば、「仏さまと向き合う心」と教えています。では仏さまと向き合うというのはどういうことでしょうか?
とある檀家さんのお宅に小学生の女の子が居ました。彼女のお祖父さんが亡くなり、毎週七日参りに伺いました。彼女に何かお手伝いをしてもらおうと考えた私は、「和尚さんがお座布団の敷き方を教えてあげる。こっちにおいで」と先ずはお座布団の敷き方を教えました。座蒲団は正方形でなく、ちゃんと敷く方向があります。周りの大人もそれを見ながら「へぇー」と頷いていました。すると次の週に伺った時は、一枚一枚ちゃんとお座布団が敷かれてありました。
次は線香の立て方、蝋燭の付け方、お焼香の炭の付け方を教えました。所謂お荘厳(しょうごん)です。「和尚さんが来た時にはやってね。そうしたらお参りが出来るから」。次の週に伺った時は、私がやって来るやいなや、お荘厳をやり始め、「和尚さん、用意ができたよ」と私に言ってくれました。
一つ一つ色んな事を覚えた彼女がある時私に言いました。「あのね。和尚さん。色々と教えてくれてありがとう。大好きなお祖父ちゃんが亡くなって寂しかったけど、和尚さんが色々と教えてくれたことが、なんかお祖父ちゃんが私に教えてくれたのかなぁと思ったんだ。そう思ったら寂しいよりも、お祖父ちゃんがいつも私を見てくれてるのかぁと思うの。これからも色んなことを教えてね」。
「あーこの子は、しっかりと仏さまと向き合ってお慈悲をいただいているなぁ」と感じました。お祖父さんの為に頑張って覚えたことが、お祖父さんの為にやったあげたことが、全て彼女の元にかえって来たのです。仏さまと向き合うことを彼女から教わりました。
彼女は現在高校生になりました。小学生の時に覚えたことを今でも続けて、仏さまとしっかりと向き合ってくれています。
このたび、当布教師会より法然上人800回大遠忌記念事業として法話集「法然さまからのお手紙とお歌」を出版いたしました。
法然さまが「黒田の聖人(ひじり)」に宛てた一紙小消息を、管長猊下お手ずから、わかりやすく現代の言葉に置き換えていただき、それを一区切りづつ布教師会の布教師がお説教として書き下ろしました。 また法然さまの代表的なお歌を八首取り上げ、それをテーマとしたお説教も掲載しております。
この本のお求めは、≪総本山誓願寺公式サイト「出版書籍のご案内」ページ≫ よりご購入いただけます。(一部1,000円税込/送料別)
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