「ご先祖様」平成28年8月の法話(2)
【担 当】 杉浦正志 師 〔愛知県岡崎市 東向寺 住職〕
【御 題】 「ご先祖様」
8月にはいり、より暑い日が続いております。熱中症に気を付けて、暑い夏を乗り切りましょう。
今、私のお寺では7月の終わりから異変が起きています。お参りではなく、中学生や高校生また若者が昼夜問わずお寺にやってくるようにったのです。それは、お寺があるゲームのスポットになっているためでした。私が見る限りでは、ゲームを遂行して終わると帰ってしまわれ、お寺でお参りされる方はほとんどありません。今の若者にとって、お寺でお参りをするという考えは私たちの世代とは異なっているように思えます。それは、決して今の若者が悪いというわけではありません。私たち大人の世代が、お参りをするというこということに、どのような意味があるのか、若者に伝えきれていないのではないでしょうか。
一方、私たちの世代においても、お参りやご先祖様に対する考え方が少しずれてきているように思われます。法要等で、先祖供養のお話をしますと、色々な意見が返ってまいります。「うちは新家(分家)なので新しい仏様がみえないから、ご先祖はありません。」と言われる方や、「ご先祖様が財産を残してくれなかったから、自分1人で今の生活を築き上げたため、先祖を敬うつもりはない。」と言われる方もみえます。たくさんの先人の知恵と努力によって、今の私たちの暮らしの礎は築き上げられてきました。自分1人で家を築き上げたと言っても、家の基礎がなくては成り立ちません。
私たち浄土宗を起こされました法然上人様の御歌に『月かげのいたらぬ里はなけれどもながむる人の心にぞすむ』というお言葉があります。月の光は、仏様の私たちを想う光です。私たちがどこにいようとも、平等に仏様の光を頂くことができます。言い換えると、私たちは1人では、生きていくことができません。いろんな方々の「想いの光」をいただいて、生きさせていただいています。その光こそが、ご先祖様の「想い」です。お参りすることは、ご先祖様に感謝の気持ちを伝えると共に、私たちに心の余裕を持たせていだき、安らぎのある暮らしを送ることができます。
8月は、お盆という家族みんなが揃いお参りをすることができるよい機会です。先祖を感謝し、またその「想い」を次の世代に繋げていきましょう。
合掌十念
このたび、当布教師会より法然上人800回大遠忌記念事業として法話集「法然さまからのお手紙とお歌」を出版いたしました。
法然さまが「黒田の聖人(ひじり)」に宛てた一紙小消息を、管長猊下お手ずから、わかりやすく現代の言葉に置き換えていただき、それを一区切りづつ布教師会の布教師がお説教として書き下ろしました。 また法然さまの代表的なお歌を八首取り上げ、それをテーマとしたお説教も掲載しております。
この本のお求めは、≪総本山誓願寺公式サイト「出版書籍のご案内」ページ≫ よりご購入いただけます。(一部1,000円税込/送料別)
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