平成18年6月の法話/畔柳正倫師/お説教の詳細ページ/浄土宗西山深草派布教師会

浄土宗西山深草派 総本山誓願寺


 

 


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平成18年6月の法話/畔柳正倫師


平成18年6月の法話/畔柳正倫師の画像1
【担 当】 畔柳正倫 師 〔愛知県西尾市 桂岩寺 住職〕
【御 題】 「尊き命 -恥ずかしきこと-

 


 

 


 

 

先日、若い僧侶よりこんな相談がありました。
「逆縁で自殺の方の弔い方は、どうしたらよいでしょうか?」

『逆縁』とは、我が子に先立たれること。
また、仏教では『自殺』を『ジセツ』と言います。

『逆縁』と『自殺』は、それぞれ大きな罪であります。

しかし、両親にとってみれば、そんなことより、どんなにつらいことか。
我が子の苦しみに気づいてあげられず、悔やまれるばかりであります。

この若い僧侶は、どの様にお弔いをしたらよいか、分からず。 
また、悲しまれる両親に掛けてあげる言葉が見つからず、困っていたのであります。

私は、「そのような因縁の方でも区別無く、同じようにお弔いをしてあげなさい。」と申し上げました。 両親は、我が子の死の事実を、恥ずかしい事と思い、密葬で葬式をしたいと相談があったそうであります。

他人の不幸は、すぐに知れ渡ってしまうものであります。 隠すことより、多くの人に最期の別れに来ていただき、故人を往かせてあげることが、せめてもの供養であります。

誤解を恐れず申し上げれば、我が子の自殺が、両親にとって恥ずかしいことではありません。 そのことを、隠し、故人の友人に報せないことの方が、人間として恥ずかしいことであります。 現在でも年間に三万人以上、特に六十歳以上の男性が、健康上の問題を悩まれての末に起こってしまうことが、圧倒的に多いようであります。

今、生かさせて戴いているこの命。 これほど尊いものはありません。

悩みのある方は、家族・友人に『貴方の心』をぶつけ、その負担を軽く。 また、私たちは、家族・友人の声なき苦しみに気づいてあげられるよう心のゆとりが欲しいものであります。

どうか、自分の事だけにとどまらず、思いやりの心を持って日暮らしをしたいものであります。




合掌 十念

 

 

このたび、当布教師会より法然上人800回大遠忌記念事業として法話集「法然さまからのお手紙とお歌」を出版いたしました。


法然さまが「黒田の聖人(ひじり)」に宛てた一紙小消息を、管長猊下お手ずから、わかりやすく現代の言葉に置き換えていただき、それを一区切りづつ布教師会の布教師がお説教として書き下ろしました。 また法然さまの代表的なお歌を八首取り上げ、それをテーマとしたお説教も掲載しております。

この本のお求めは、≪総本山誓願寺公式サイト「出版書籍のご案内」ページ≫ よりご購入いただけます。(一部1,000円税込/送料別)


 


 

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