平成24年3月の法話/伴義山師/お説教の詳細ページ/浄土宗西山深草派布教師会

浄土宗西山深草派 総本山誓願寺


 

 


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平成24年3月の法話/伴義山師


平成24年3月の法話/伴義山師の画像1
【担 当】 伴義山 師 〔愛知県西尾市 妙善寺 住職〕
【御 題】 「この岸がよろこべてこそ春彼岸」

 


 



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私の寺には三月で満百歳になられる義母、家内の母が、彼れ此れ四十年ほど居候しておられます。

誠に以って重宝な婆さんでありまして、口はさて置き手八丁、バス一車、ニ車の食事を一手に賄い、「かぼちゃ寺」の発展に貢献され、三人の孫達の面倒も本当によくみてくださいました。

在家出身ではありますが、幼少より御詠歌の道に精進され、縁あって寺の生活が出来る事を無上の喜びとしておられました。

三、四年前境内の掃除中転倒、骨折入院、再度転倒されてより少々痴呆症気味、パンパスの寝たきりの日々となりました。 家内とお世話するのですが、どうしてお念仏を称える口から、此の様な悪口、雑言がでるのでしょうか?

「痛い、痛い、殺す気か、殺せ!」 こうなりますと「親子だからいいんだ」とお尻を「ぴしゃ」、私も逆上するものを押さえていますと、胸苦しくなります。

「お母さん、お母さん」 大声で呼んでおられます。十返に一度顔を見せますが「狼少年」、今度はどうでしょう「阿弥陀さん、阿弥陀さん」 何度叫べど、阿弥陀さまは決して現れては下さいません。 老婆の切ない声をお聞ききとどけにはならないのであります。 反対にこの私の方が切なくなりました。

その時、「はっと」気付いたのであります。

当たり前だ、阿弥陀さまが「婆さん助けに来た、オシメを替えにきたよ」と仰有る訳がない。 この私が阿弥陀さまの代わりをさせて頂き、食べさせ、パンパスを替えさせて頂くんだ、その証拠にお婆さん、この私を拝んでおられるではないか。

実はこの私が、「介護する 此の手弥陀の手 温かし」此の手が既に阿弥陀さまのお手伝いをさせて頂いているのであります。 やっと私の胸中安らかにさせていただきました。

お婆さん常に申しております。 「極楽の、弥陀の浄土へ行きたくば、念仏口ぐせにせよ」 「極楽は、何処にありと問うならば、自が心の中にあり」…。

この世から極楽を味わって頂き、真実誠の極楽浄土へ帰られる様、残り少ないお生命と思えばこそ、心を込めてお婆さんのお世話を感謝しつつさせて頂いております。

この道は、極楽の道、春彼岸…  合掌

 

 

このたび、当布教師会より法然上人800回大遠忌記念事業として法話集「法然さまからのお手紙とお歌」を出版いたしました。


法然さまが「黒田の聖人(ひじり)」に宛てた一紙小消息を、管長猊下お手ずから、わかりやすく現代の言葉に置き換えていただき、それを一区切りづつ布教師会の布教師がお説教として書き下ろしました。 また法然さまの代表的なお歌を八首取り上げ、それをテーマとしたお説教も掲載しております。

この本のお求めは、≪総本山誓願寺公式サイト「出版書籍のご案内」ページ≫ よりご購入いただけます。(一部1,000円税込/送料別)


 


 

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