平成19年6月の法話/深津実乗師
【担 当】 深津実乗 師 〔愛知県西尾市 称名院 住職〕
【御 題】 「おかげ」
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深津実乗師は平成22年2月28日に遷化されました。
この場を借りまして謹んで哀悼の意を表します。
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おかげで家中元気で何の障害もなく、暮らさせてもらっているので有難い。
しかし、食べ物のあまりを捨てたり、使用できる道具を捨てたりしてしまうこともある。
むかしは先生や親、先祖を大切にし敬ってきたので、有難いとか勿体ないとかいう言葉がよくわかる。 ところが、この頃では姿を消しているようです。 また、米一粒でも 「勿体ない」「粗末にしない」 。 寺や社の前を通れば会釈して通り、また、親や先生は権威者であり、私達を見護って下さっているので有難く勿体ないので粗末にしてはいけないと、絶対者としての暮らしでした。
ところが、最近は親の権威もなく、物資も豊かになり、神も仏もあるものかと我がまま勝手に自分の意志を通す。 従って、自然や人や物の「おかげ」を忘れての日暮らしです。
特に「物」に対する報恩謝徳の心やおかげで幸せに暮らす、喜びの気持ちがうすらいでくる。
生命のもと 空気 光 なんと広大ではないか。
粗末にしては勿体ないと思う気持ち、その中に神仏を敬う心が深まって、
心が豊かになり、勿体ない、有難い、おかげの心が育っていくのであります。
法然上人の、 「月影の至らぬ里はなけれども 眺むる人の心にぞすむ」なりも忘れ、おかげを喜び、一向に念仏することが往生を得た人です。
今日もお隣からおいしい物を頂いた。 ただより高い物はない。
仏さまから常にただで私達を護っていてくださる。 なんとありがたい。
お礼に一度でも良い、念仏をしよう。
念仏の日暮らしをしましょう。
合掌 十念
このたび、当布教師会より法然上人800回大遠忌記念事業として法話集「法然さまからのお手紙とお歌」を出版いたしました。
法然さまが「黒田の聖人(ひじり)」に宛てた一紙小消息を、管長猊下お手ずから、わかりやすく現代の言葉に置き換えていただき、それを一区切りづつ布教師会の布教師がお説教として書き下ろしました。 また法然さまの代表的なお歌を八首取り上げ、それをテーマとしたお説教も掲載しております。
この本のお求めは、≪総本山誓願寺公式サイト「出版書籍のご案内」ページ≫ よりご購入いただけます。(一部1,000円税込/送料別)
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