季節の法話/如月(二月)/木村賢隆師
【担 当】 木村賢隆 師 〔愛知県西尾市 専長寺住職〕
【御 題】 「お釈迦さまと投薬」
皆さん、春二月です。
お釈迦さまは二月十五日にお涅槃に入られました。 インドの国柄では八十歳というと相当な高齢であったと思います。 いまでこそ日本でも八十歳というと大勢ありますが、二千六百年前インドでは大変なことです。
お釈迦さまは生きている者全てを救いたいとの意欲で長生きできたと思います。 しかし生滅滅己(しょうめつめっち)の道理にこの世を去られたのです。 その心を今私たちの心に生かさなければなりません。 残念ながら今の世の中は目の先しか考えない者が多いのです。 それに自分さえ良ければよいと云う考えが多いのです。
お釈迦さまの仏教は、実に世界の平和と平等を願う教えであります。 他の宗教に見られない人間味ある教えです。 それだから釈迦涅槃図(しゃかねはんず)の中には、あらゆる動物が描かれています。
また人間、病気になった時でも「医学の世話になるべし」と涅槃図には沙羅双樹(さらそうじゅ)の枝に1つの薬袋が懸かっています。 これはお釈迦さまのお母さまが、わが子にもっとこの世で長生きして世の為になるようにと、天国からこの世へ薬を投げて下さったのです。 みなさん、私たちが病気になったとき病院などお医者さまから受け取る薬を「投薬」と言っていますが、この因縁に始まるのです。私たちの心の病に法然上人は、念仏と云う薬を投薬して下さったのです。 この投薬こそ私たちが安心して暮らせる薬です。
「南無阿弥陀仏」と称えて下さい。 きっとあなたの思いが叶えられます。
合掌 十念
このたび、当布教師会より法然上人800回大遠忌記念事業として法話集「法然さまからのお手紙とお歌」を出版いたしました。
法然さまが「黒田の聖人(ひじり)」に宛てた一紙小消息を、管長猊下お手ずから、わかりやすく現代の言葉に置き換えていただき、それを一区切りづつ布教師会の布教師がお説教として書き下ろしました。 また法然さまの代表的なお歌を八首取り上げ、それをテーマとしたお説教も掲載しております。
この本のお求めは、≪総本山誓願寺公式サイト「出版書籍のご案内」ページ≫ よりご購入いただけます。(一部1,000円税込/送料別)
前へ
次へ
前の画面に戻る
facebook area