季節の法話/卯月(四月)/榊原慶憲師
【担 当】 榊原慶憲 師 〔京都市伏見区 真宗院 住職〕
【御 題】 「朝日と夕日」
私の部屋から見える景色を紹介しましょう。
窓の東側はずっと野菜畑です。 その向こうは小高い丘になっていて、頂上付近は竹薮です。 朝五時には、空が少し明るくなって来ます。 竹薮の上空がトキ色なってくると、スーッと朝日が昇ります。 私は、「美しいなあ!」と感動します。 一日の出発です。 今日も頑張って生活しようという意欲がわいてきます。
それから一日の終わりがあります。 夕方に境内の裏山に立つと、京都盆地を眼下に、十キロ先には西山の峰々が見えます。 そして太陽が西の山に沈んでいくのです。 まるで大きな火炎太鼓が、空に懸っているように見えます。 ジーと見つめていたり、目を閉じたり、くり返していると目を閉じていても、太陽の壮大な姿が、閉じた目にも見ることが出来ます。 これは極楽浄土をイメージする練習の一つです。
私達の人生を振り返ってみると、朝日が昇るような、働き盛りのときはどうでしょう。 家をたてたり、事業を広げたり、地位肩書きを求めたり、一所懸命です。 さまざまな欲望がおこります。 その欲望が又生きていく張り合いになっています。 併し、一所懸命のあまり、自分にに過分のことを望んだり、人の心を傷つけたりすることがあります。 そういうことをくり返くり返し、私達は年をとっていくのです。
そして夕暮れに、子ども達が父母の待つ我が家に帰っていくように、私達も魂の親様のところへ帰る日が近づいて来ます。 魂の故郷でやがて再会するであろう懐かしい人達に、恥ずかしくない人生であったであろうか?
あなたには、まだ希望を追求する時間があります。
あなたには、まだ生き方を反省する時間もあります。
朝日に希望を! 夕日に反省を!
合掌 十念
このたび、当布教師会より法然上人800回大遠忌記念事業として法話集「法然さまからのお手紙とお歌」を出版いたしました。
法然さまが「黒田の聖人(ひじり)」に宛てた一紙小消息を、管長猊下お手ずから、わかりやすく現代の言葉に置き換えていただき、それを一区切りづつ布教師会の布教師がお説教として書き下ろしました。 また法然さまの代表的なお歌を八首取り上げ、それをテーマとしたお説教も掲載しております。
この本のお求めは、≪総本山誓願寺公式サイト「出版書籍のご案内」ページ≫ よりご購入いただけます。(一部1,000円税込/送料別)
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