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「氷多ければ、水多し・・・」

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担当 新美和彦

愛知県蒲郡市 玉泉院住職

「あの子は、お浄土に往くことが出来るのでしょうか?」

とは、自殺により、18才の我が娘を亡くした。ご両親のおたずねでした。

「大丈夫!あなた達のお念仏の後押しにより、必ずお浄土にいかれますよ。」

お浄土の有様の画かれた掛け軸(当麻曼荼羅)をお見せしながら、「お金が有ろうが無かろうが、善人も悪人も、生前の行いに関係ありません。 みんな裸になって浄土のお池に生まれさせていただくのです。それには、素直な心で、お念仏することです。理屈ではありません。『南無阿弥陀仏』と手の合わさる時。お子様のお浄土に居られるお姿が心に湧いてきます。」と、お話いたしました。

「分かりました。でも、15才の妹が、沈み込んでしまって、学校も行けないし、お友達とも遊べなくなってしまいました。そんな、妹には、どう接してやったらよろしいでしょうか ? 私たちも世間の目が気になります。何故、こんなに私たちを苦しめるのでしょうか?」

これには、私も困りました。 でも、これだけは云いました。

「あなた達、親のお気持ちが大切です。嘘でも毅然としてやって下さい。親の不安が子どもに移ります。親のやすらぎは子どものやすらぎです。」と、

法然上人さまは、『葦の生い繁るお池に、満月の月光があたっていても、そこに月の宿る姿は見えません。しかし、よくよく葦と葦とのわずかな水面を見れば、葦間をわけて宿る月を発見することがあります。』と云われています。  怒り・憎しみ・悲しみの葦は繁れども、そこにお慈悲の仏心をいただくことができるのです。

仏さまに(位牌に)、素直に手の合わさる時、
しだいに亡き人と共に救われて往きます。

苦悩は、自己中心的な心から生まれます。

彼岸(心安らかな境地)を求め、お念仏の道(仏道)に入れた瞬間から、少しずつ仏性をいただき浄められていくのです。

「氷多ければ、水多し」と言います。
「氷」とは、煩悩。「水」とは、仏性です。

苦悩や邪心という煩悩がなかったり、少なければ「心安らかになりたい」という菩提心(発心)も起こりません。苦悩が多いほど、仏の心に触れたときの喜びは大きいものです。

私たちに苦悩があることは、一つも心配することはありません。
合掌 十念





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